精神障害者のあなたが働くということ【6】

精神障害者が働くということ

本題の「精神障害者が働くということ」について考える時が来ました。

精神障害者は働く権利を持っていると言いました。しかし、その権利を行使するのはなかなか大変です。いま見てきたように、ひどくダメージを受けるなら働けないからです。

回復の度合いがある程度高く回復の色合いが仕事に合っていないと働けません。だから、精神障害者が働くということは、当然の権利でありながらも得るのが簡単ではない幸運なことだともいえます。

回復の色合いのところで確認したように、色合いは人それぞれで、あなたにふさわしい働き方があります。

福祉的就労の人と一般就労の人を単純に比べることはできません。あなたに合った働き方・生活の仕方を見つけることが大切なのです。

このように見てくると、精神障害者であるあなたが働くということは敷居の高いことだと感じるかもしれませんが、就労継続支援B型事業所など福祉的就労で自分なりの働き方を見つけている人はたくさんいます。

そうやって、「働きたい」という希望がかなえられたとしたら、大きな充実感と貢献感を持つことができます。

さらに、障害者枠で一般就労する人もいますし、回復の度合いが高い人の中には、健全にクローズで働く人もいます。クローズなら、障害者枠に比べびっくりするほど給料が高くなるからです。

働かない人のランクが一番低く、その上が就労継続支援B型の人、その上が就労継続支援A型の人、一番ランクが高いのが一般就労の人、というように聞こえたとしたら、私の語り方がまずかったからです。

「一般就労しなければいけない」わけではないし、「思うように働けない自分は情けない」わけでもないのです。

仕事を探すときには、焦りから一般就労自体を目的にしたり他の人と比較し張り合ったりしないで、自分に合った仕事を探しましょう。

自分に合った仕事とは、自分に合った職種・自分に合った時間数・自分に合った環境のことです。

 

まとめ

「病者のペース」という言葉が何度か出てきました。健常者とは違うスケールの時間です。

私が発病してから、作業所にたどり着くまで9年、そこからフルタイムで働くようになるまでにさらに8年以上かかっています。最適な勤務時間を調整するのにも数年以上かけましたし、それは今も続いています。

就職活動する際には、その「病者のペース」をまずあなた自身が自覚し、その上でそこに配慮してくれる環境の職場を探すのがまずもって大事になります。

障害者枠での就労について一つ留意が必要な点があります。

障害者枠で就職しても、病状を理由に休むことはできないということです。規定された時間数などがあり、病気であってもそれをきちんとこなすことを前提として雇用し、それができないなら解雇して構わないということになっています。

これは、あまりに雇う側の都合に配慮しすぎていますが、現状ではすぐに変えられません。しかし、あなたの事情に配慮してくれる職場は一般にも確実に存在します。だからこそ、障害者に優しい職場をあなた自身が自覚を持って探すことが重要になってくるのです。

さて、これであなたも就活をする準備ができました。

くれぐれも切迫感に動かされないように、「働かないで生きて行く」から「一般就労」まで、他の人のまねをせず、あなたにふさわしい働き方・生活の仕方が見つかりますように、心から祈っています。

あなたの就活と生活を応援します。GOOD LUCK !

 

 

 

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谺(こだま)
谺(こだま)こと、児玉朋己といいます。 歌うピア・サポーターをしています。 静岡県藤枝市にある自立生活センター「おのころ島」が運営している地域活動支援センター「りんりん」の施設長です。 精神障害を持つ方へ同じ当事者としてピアカウンセリングを行うほか、シンガー・ソングライターとして音楽活動をしています。