精神障害者のあなたが働くということ【2】

 

振り返ってみると、精神障害者ってどんな人?

みんな発病して精神障害者になります。

だから、「精神障害者とは病気の人・病人だ」という人がいるかもしれません。しかし、私はそうは思いません。

病人というと、100パーセント病人のように聞こえますし、書店で統合失調症について書かれた本の大半は症状について説明するだけです。

私はそれが不満でした。その症状をかかえた本人が何を想いどう考えて病気に「正常に」対応しようとしているかは書かれていないからです。

 

私が体験した、統合失調症回復のためのステップ7+1(発病・発症からステップ4まで)

 

そこで、私は、ある小冊子を作りました。

『私が体験した、統合失調症回復のためのステップ7+1』です。

この「ステップ7+1」について大まかに説明します。統合失調症の人が、健康な大人としてどのように病気に対処して回復していくのかを書いた本です。

 

ステップ1

私たち病者には、発病の瞬間というものがあります。症状が出始めた瞬間です。

それは確かにそうなのですが、そのときすぐにそれが病気だとは気がつかなかったという人が大半ではないでしょうか? 私も当初は発病に気がつきませんでした。

この段階がステップ1「病気に気がつかない」です。

このステップ1「病気に気がつかない」時期には、本人は違和感を覚えているものです。しかし、その違和感が病気によるものだとは気がつかないということです。

 

ステップ2

この状態が続き、症状が進行していって症状が「溜まっていく」と、自分でもこれはおかしいと感じるようになります。

「自分はどこか変だ」「何とも苦しい」「長期休みがほしい」と切実に感じます。そして自分から病院に行こうと思ったり、家族など周囲の人が「どうもおかしい」と感じたり、明らかに異常なことを本人が周囲に訴えたりした結果、病院に行くことになります。

それがステップ2「病気に気がつく・知らされる」段階です。

 

ステップ3

ステップ2によって受診にこぎつけました。

その結果否応なく自分が病気だと知らされると、病気に絶望したり病気であると受け容れるのを拒否したりします。

これには人によりまた時期によりさまざまなパターンがありますし、その度合いも違います。

これがステップ3「病気に絶望・拒否する」段階です。

この段階では、本人は受診拒否をしたり服薬拒否をしたりすることがあります。その他にも、「自分は病気じゃない」と言い張ったり、「こんな病気になって恥ずかしい」など、親に向かって行き場のない気持ちを吐露することもあるでしょう。精神病への差別意識に苦しむのです。

このステップ3は、本人にとっても家族にとってもいちばん辛いときだと思います。

本人は、一生懸命にもがきますが、なかなかよい方向に行かず、沼地に足を取られて飲み込まれていくような感覚があるでしょう。落ちるところまで落ちるしかないといっても過言ではありません。このとき、家族の支援が大切になってきます。

病気の正しい理解・忍耐と受容が必要です。

 

ステップ4

ステップ4は、「病気に観念する」という瞬間です。

ステップ3で挙げたような病気による絶望や病気の拒否に加えて、さまざまな色合いや度合いのわだかまり・欲求不満が病気にはつきものです。そのため、本人は自分が病気であるという事実にイライラしながら生活することになります。

やがて、そのように「病気に反抗」することに疲れ、病気に「マイッタ」をするときが訪れます。落ちるところまで落ち切った瞬間です。

それが病気に観念した瞬間です。私が病気に観念したのは、「大失敗した」からでした。

「マイッタ」とは、お手上げ状態・バンザイするということです。あとはお天道様にゆだねます、神様にゆだねます、ということ。

人事を尽くして天命を待つ、という言葉がありますが、病気のせいで、そのままでもう手の施しようがなくなっている、あとは天命を待つしかない、というニュアンスです。

「マイッタ」は、諦めの一種ですが、私は、この諦めのおかげで、病気の自分にも確実にできる仕事に就かなきゃだめだという前向きの気持ちになり、その結果初めての社会資源である作業所にたどり着いたのです。

 

私が体験した、統合失調症回復のためのステップ7+1(ステップ5から回復(リカバリ)状態まで)

 

では、引き続きステップの後半を見てみましょう。

ステップ5

病気に観念できると、次のステップ5「病気を受容する」段階に進みます。

このステップ5から、本人が病気に対して自覚的主体的に対処できるようになります。

この受容する段階で経験することを挙げてみます。

  • 「自分は病気だから○○したのだ」、と振り返る
  • 「病気は自分ではない」と気づく
  • 「自分が悪いのではない」と気づく
  • 「親(家族)が悪いのではない」と気づく
  • 「自分に責任を持つ」

 

ステップ5で本人に訪れる気づきや行動は他にもたくさんありますが、どれにしても自分が自覚的主体的に病気に対処するようになるきっかけとなります。

 

ステップ6

ステップ6は、「病気と折り合いをつけることを知る」です。

この段階での課題は、病者のペースを知り基準を下げることです。

ステップ3では自分の差別意識に苦しむと言いましたが、ステップ5で病気の受容が大まかにできてくると、自分の生活に意識が向くようになります。そして、昔のようにはできない自分に気づき欲求不満がたまっていきます。

物事をテキパキこなせないし、すぐに疲れてしまって何をするにも自分のやりたいようにできないのです。夜、眠れずに布団の中にいると時間がもったいないようにかんじ、起きだしてDVDを観たりします。

この時期に大切なのは、「病者のペース」があることを知ることです。

 

ステップ7

ステップ7は、「できることをすればよいことを知る」です。この段階で心がけるとよいことは、

  • 同じ病気の人を知ろう
  • 仲間を作ろう
  • 確実にできる仕事に就こう
  • 小さなことはよいことだと思おう
  • 人に囚われるのはやめよう
  • 人を手助けしよう

 

といったことです。

これらは社会性を取り戻すというこの段階の課題に応えるものです。

さまざまな社会資源を利用するようになり、生活の質を高めていく段階です。

以上が回復のための7つのステップです。

+1(プラスワン)については略します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUTこの記事をかいた人

谺(コダマ)ッチャンこと、児玉朋己といいます。シンガー・ソング・ピアカウンセラーをしています。 静岡県藤枝市にある自立生活センターのおのころ島が運営している地域活動支援センター「りんりん」の施設長として精神障害を持つ方へピアカウンセリングを行うほか、シンガーソングライターとして音楽活動をしています。