精神障害者のあなたが働くということ【5】

 

精神障害者が働かないということⅠ

「働かない」のは、「働きたくないから」ではない。

繰り返しになりますが、精神障害者のほとんどは「働きたい」と思っています。これは、働かないでいる精神障害者でも同じです。

これについては、あなたも同意してくれますね。

 

「働かない」のは「働けないから」

働けないから働かないという方がいます。

これは、先ほどの回復の度合いで、「改善しない」や「いくらか改善する」の一部分に該当する人たちで、ずっと入院せざるを得ない人や、入院してはいなくても私生活を成り立たせるだけで精一杯の人たちです。

私生活で精一杯という人たちのなかには、「働きたい。働かなきゃ。いずれできるだけ早く働けるように、生活を規則正しくして体力をつけなきゃいけない。」と非常に気を張りストイックに生活している人もいます。

 

「働かない」のは、「入院して生活を壊したくないから」

働けばさしあたりは働けるけど、無理すると再発して入院を余儀なくされ生活を壊してしまう可能性があるから働かないという方です。

こういう人は、無理して働いた結果再発するという経験をしているので、もうそういう不毛なことはしたくないという思いから働かないでいます。

こういう人は、「君も、働きたいならやってごらん。でも、僕はもういいよ」と言います。

 

精神障害者が働かないということⅡ

「働かない」のは、「生活に余裕と潤いを確保したいから」

働けば継続して再発もしないで働けるかもしれないけど、生活に余裕と潤いがなくなって何のために生きているのかわからなくなるから働かないという方です。

精神障害を持つとストレスに弱くなるので一般の人以上に疲れやすいのはわかると思います。残業を160時間とか190時間とかしたせいで自殺する人がいることが問題になっています。

健常者だから、それだけたくさんの残業ができるのです。

精神障害者の場合、残業なしの一日5時間の仕事でさえ、健常者の残業190時間に匹敵するほどのダメージを受ける場合があります。

あなたの周囲の健常者で、「俺なんか家には寝に帰るだけでそれ以外は仕事三昧だ」という方がいらっしゃるかもしれません。でも、それと同じことをあなた自身に求めないでください。

精神障害者では、慎重に決めた勤務時間であっても「帰宅後は疲れ切って何もできずぶっ倒れている」経験をした人は少なくないと思います。

そこには、私生活がなくなってしまう感覚があります。それでは、何のために生きているかわかりません。

精神障害者にも、最低限の文化的な生活は保障されています。生活の余裕と潤いを守るために働かないのです。

 

「働かない」ことに負い目を抱えている

このように、精神障害者が働かないでいる理由はさまざまあります。ここに挙げた以外にもあると思います。

そして、このように働かない・働けないでいる人たちは、心の根底で「働けないのは申し訳ない」と負い目を感じています。思いつめている人もいます。

決してお気楽でいるわけではありません。

働かない場合は多く生活保護を受けることになりますが、生活保護受給者としても偏見を受けることがあるので、そこでさらに負い目を感じてしまいます。

働かないでいるのも大変なのです。

 

働かない負い目を防げたら、味わい深い豊かな生活がある

「働かない」ことについて、ネガティブな点がありました。「働かなきゃいけないのに働けない」という負い目です。

これは放っておくと辛いものですが、この負い目を防ぎ大幅に減らすことができたとしら、贅沢はできませんが、「働かない」ことで、味わい深い豊かな生活を送ることができます。

どうやって負い目を防ぐかですが、友人が語ってくれました。

「病気によって、できていたことができなくなってくる。職場ではそれを誤魔化して無理やりにやる、ということに違和感を感じました。」

 

「発病後も就職にチャレンジして失敗・挫折してきた経験の回数と年数を振り返ったとき、児玉さんの言う『マイッタ』をした・観念したということです。そして、病者であることを自覚して、クヨクヨするのではなく胸を張って生きて行こうと前向きな決心をしました。」

 

ステップ4の「病気に観念する」「マイッタする」が重要な契機になっています。

観念する・マイッタするとは、お天道様にゆだねるということですが、深いマイッタができると、「働かなくても胸を張って生きて行こう」という前向きな生き方が生まれます。それが、味わい深い豊かな生活の基盤になります。

ステップ4は、それだけ重要なステップだといえます。

 

精神障害者が働かないということ「まとめ」

働かない理由を一言で表せば、「ダメージを防ぐため」と言ってよいでしょう。

どんなダメージをどのくらい受けるかが人によりちがうので、それぞれさまざまな「働かない」理由を持つことになります。それが、その人の回復の色合いだということになります。

回復の度合いとしては同じように安定している方でも、その人それぞれの色合いによって、働けたり働けなかったりします。回復の度合いが一意的に働けるか否かを決めるのではありません。

もし、あなたが働かないことにするとしても、きっと、下を向かず胸を張ってください。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

谺(コダマ)ッチャンこと、児玉朋己といいます。シンガー・ソング・ピアカウンセラーをしています。 静岡県藤枝市にある自立生活センターのおのころ島が運営している地域活動支援センター「りんりん」の施設長として精神障害を持つ方へピアカウンセリングを行うほか、シンガーソングライターとして音楽活動をしています。