こんにちは!
谺(コダマ)ッチャンこと、児玉朋己です。
元気してますか? 私は寝そべっています。
今日は、キャロル・S・ドゥエック著『マインドセット「やればできる!」の研究』という本についてお話しします。
先々日の記事で「失敗が怖い」、先日の記事で「失敗が怖いのは結果にとらわれているから」と話を進めてきました。
そこでは、自分なりに正直な気持ちをお話ししてきました。
「大失敗したら人生終わり?」
映画エリザベスタウンでは、大失敗からたちなおる青年が描かれていました。
「結果ではなく、目標に焦点を当てよう」
結果目標ではなく行動目標を行うことに集中しよう、と言いました。
失敗したら落ち込んだり自殺を思ったりするのは無理もないことなのか?
結果を出さなきゃいけないと恐怖心にさいなまれるのも当然なのか?
「この問いを根本解決する本が確かあったぞ!」と気がついてしまいました。
ホントの根本をあつかっているので、この本はきっとあなたにも役に立つと思います。
それは、才能や能力・資質について、あなたがどんな信念「マインドセット」を持っているか、という問題なのです。
マインドセットとは何か?
著者は、第1章で、「なぜ、人には個人差があるのだろう。なぜ、頭の良さや徳性に違いがあるのだろう。その違いを一生規定するような何かが存在するのか、しないのか。」(p.10)と問いかけます。
「このような差異はフィジカルな違いによるもので、避けがたく変えようもない」という主張と、「そのような差異は生まれ育った環境や体験、教育および学習方法に起因するものだ」という主張がなされてきたといいます。
そして、どちらが正しいのかというと、そのどちらでもないというのが、今日の大多数の専門家の見解だといいます。
あなたはどちらの説を信じますか?
つづけて著者は、専門家の見解はともかく、あなたが自分に当てはめてどちらの説を信じるかによってその後の人生に大きな開きが出てくると言います。
頭の良さは「生まれ」だと信じる人は「硬直マインドセット」の人、頭の良さは「育ち」だと信じる人は「しなやかマインドセット」の人だそうです。
硬直マインドセット
自分の能力は石板に刻まれたように固定的で変わらないと信じている人―「硬直マインドセット」の人―は、自分の能力を繰り返し証明せずにはいられない。知能も、人間的資質も、徳性も一定で変化しえないのだとしたら、とりあえず、人間としてまともであることを示したい。
(p.13)
しなやかマインドセット
〔「しなやかマインドセット」〕の根底にあるのは、人間の基本的資質は努力次第で伸ばすことができるという信念だ。もって生まれた才能、適性、興味、気質は一人ひとり異なるが、努力と経験を重ねることで、だれでもみな大きく伸びていけるという信念である。
(p.13)
硬直マインドセット VS.しなやかマインドセット
著者はこのあと、わかりやすいようにこの二つのマインドセットを対照的に描いていきます。
あなたは、自分の頭の良さや能力・資質は生まれつきで変わらないと思っていますか?
それとも、それらは努力して伸ばし成長させていくことができると思っていますか?
自分がどちらを信じているか、それぞれのマインドセットの特徴をみて確認していきましょう。
求めていること
能力を固定的にとらえる世界では、自分の賢さや才能を証明できれば成功、自分の価値を確認できればそれが成功だ。一方、能力は伸ばせるものと考える世界では、がんばって新しいことを習得できれば成功。自分を成長させることができれば成功なのだ。
(p.27)
努力について
能力を固定的にみる世界では、努力は忌まわしいこととみなされる。挫折と同様に、頭が悪くて能力に欠ける証拠だからである。頭が良くて才能があれば、そもそも努力する必要なんてないはずなのだ。それにたいし、能力は伸ばせると考える世界では、努力こそが人を賢く、有能にしてくれる。
(p.28)
失敗について
ニューヨークタイムズ紙の論説記事が指摘しているように、近年、「失敗」の意味合いに変化が生じている。私は失敗した、というひとつの出来事にすぎなかったものが、私は失敗者だ、というアイデンティティにまでなってきているのだ。とくに、硬直マインドセットの人の場合にはその傾向が著しい。
(p.47)
しなやかマインドセットの人にとっても、失敗がつらい体験であることに変わりはない。けれども、それで「失敗者」になってしまうことはない。彼らにとっての失敗とは、それに立ち向かい、それと取り組み、そこから教訓を得るべきものなのだ。
(p.48)
成功と失敗と努力の関係について
もちろん、硬直マインドセットの人だって、次のような教訓をたれる本を読んでいるはずだ。「成功とは自分の最善を尽くすこと。他人に勝つことにあらず」「失敗を嘆くなかれ。失敗こそチャンスなり」「努力こそ成功のカギ」
ところが、頭ではわかっても、なかなか実行に移せないのはなぜだろう。それは、信念の根本にあるマインドセット―硬直マインドセット―がまるで正反対のことを語っているからなのだ。「成功を決するのは才能。失敗は能力が劣る証拠。努力は才能なき者の悪あがき」
(p.62)
私はどうだったろう?
これらを読んで、私は、自分はどうだったろうと思い返してみました。
中学生くらいまで
中学生くらいまでは、男の子ならだれでもそうだろうと思いますが、なんでも一番になりたいと思っていました。そして、勉強の成績も運動能力も努力で伸ばせると思っていました。
勉強について
というか、勉強は、もともと「世の中(自然や社会)ってどんな仕組みでできているんだろう」という自発的な好奇心で学んでいましたから、努力しているつもりはありませんでした。
運動能力について
一方、運動能力は、徒競走では下の上くらいの速さだったり、運動神経もよくて中くらいで中学で始まった柔道では試合で中の上くらいまで勝ち残ったりしていました。でも、もっと工夫して練習すればもっと強くなれると思っていました。ただ、俊敏に動き一瞬で勝つ本当に強い人って違うんだなあとも思いました。
部活のバスケットボールでは、やはり中くらいの能力の選手だったと思います。レギュラーにはなれず、たまに試合に出してもらう感じでした。
高校生のころ、だんだん硬直してきた・・・
高校くらいになると、自発的な好奇心が少し薄れたきらいはありましたが、勉強はバスケットボールを続ける中でやれることをやっていたという感じです。やれば伸びるとは思っていました。
運動能力は特に・・・
ただ、運動の方は、部活でも、同級生や先輩と比較して、自分はとてもああいうプレイはできるようにはならないなと思うようになりました。
指導する先生も、いいプレイをする選手を使いますから、ああいうふうにできない自分はダメだな、と思いました。
こういうふうに努力すればこういうふうに伸びていく、という筋道があることがわからなかったです。
バスケットボールは、ハビット(習慣)スポーツと呼ばれ、一つ一つのプレイを習慣化するほど繰り返し練習して身につける種目だということを理解したのは、20代になって『スラムダンク』を読んでからでした。
1年生の時に、3年生の先輩で、コツコツとスリーポイントシュートの練習を続け、最後の大会前になってレギュラーを奪い取った方がいたのを見ていたのですが、自分に当てはめようとはしませんでした。
能力は努力して伸ばすものだという観念を失っていたのだと思います。
音楽について
私は、音楽の才能、特に歌うことと作曲編曲することについては、ほぼ、硬直マインドセットだったなと思いました。
やりたいと思った動機は・・・
高校1年生になって、同級生にギターの弾き語りをする男がいました。すごくかっこいいと思い、羨望しました。ただ、自分にはバスケットボールがあるし、と思って、高校時代に音楽をやることはありませんでした。
高校時代に、バスケットボールはこれ以上やっても仕方ないという踏ん切りがついたので、大学に行ってから、「では、彼がやっていた音楽をやってやろう。俺にだってあれくらいのことはできる。それを証明してやろう」と思いました。
もろに硬直マインドセットですね。
作曲が苦しい?
もちろん、純粋に音楽が好きというのはありますし、イメージがだんだん形になっていく過程は大好きです。
ただ、自分が歌う歌を作りたいという動機は悪くなかったと思いますが、「自分の能力を証明したい。それでかっこいいと思われたい」という動機がかなり大きかったと言わざるを得ません。
だからだと思いますが、最近はあまり曲を作っていません。
「また以前に作ったような水準の曲が作れるだろうか? うまくできないと嫌だなぁ」と思ってしまうのです。
以前の曲を聴くと、「よくこれだけの曲を作ったな。どうやったっけ?」と思ってしまいます。
自分の曲が素晴らしいと言っているのではありません。
「またあんな苦労をしなければならないのか?」と思ってしまうのです。
「児玉さんは、苦しんで曲を作っているように見えます。それって変じゃないですか?」と言われたこともありました。
図星です。
自分を見つめて感じた希望
ちょっと、恥ずかしいことをダラダラと話してしまいました。言うべきことではなかったかもしれません。
ただ、こう話してきたのは、この本をレビューにまとめてきたことで、希望のようなものを感じたからです。
あらためて、硬直マインドセット VS.しなやかマインドセット
著者は次のように言います。
しかし何と言っても重要なのは次の点だ。つまり、マインドセットがしなやかな人は、自分のやっていることを愛していて、困難にぶつかってもいやになったりしないことだ。(中略)しなやかマインドセットの人には、その道のトップになろうなんて考えてもいなかった人が多い。好きで好きでたまらないことに打ちこんでいるうちに、いつの間にかそうなっていたのだ。
(p.67)
もうひとつ重要なことがある。硬直マインドセットの人にとっては、結果がすべてなので、失敗したり一番になれなかったりすると、それまでの努力がすべて水泡に帰する。それにたいし、しなやかマインドセットの人は、結果がどうなろうとも、今、力を注いでいることそれ自体に意義を見出すことができる。
(p.67)
音楽が好きだという原点
私にも、自分が音楽が好きだという原点は健在です。
それを軸にすえれば、自発的な好奇心を取り戻せるでしょう。それが自分のやっていることを愛するということだと思います。
「自分の能力を証明したい。かっこいいと思われたい」と思うから苦しいわけです。そちら、硬直マインドセットに軸をブラさなければいい。
そうすれば、おのずと今、力を注いでいる音楽それ自体に意義を見出すことになるでしょう。
まとめ
著者が言いたかったことを端的に述べているところがあります。
本書の目的は、二つのマインドセットとそれが生み出す世界を描き出し、どちらの世界に住みたいかを考えてもらうこと。重要なのは、マインドセットは自分の意志で選び取ることができるという点なのだ。
(p.69)
私自身は、特に音楽への取り組み方について感じるところが多々ありました。
硬直マインドセットを捨て、しなやかマインドセットを身につけようと思います。
あなたにも、きっと訴えるものがあったと思います。
この本には、ここでは話しきれなかったことがまだたくさんあります。
- 学力や芸術的才能を伸ばすためのマインドセット
- 人間関係を育むためのマインドセット
- すぐれた親と教師になるためのマインドセット
- マインドセットをしなやかにする方法
この本は、アメリカで2006年に出版されましたが、もうすでに〝古典的名著〟とされ、多方面に引用される基本図書になっています。
一般向けの読みやすい本です。
生きるって何だろう? 生命って何だろう?
谺(こだま)
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