『チーム・オルタナティブの冒険』レビュー:オルタナティブな自分を創るガイド

こんにちは!
谺(こだま)こと、児玉朋己です。

お元気してますか?

私は、
久しぶりに予定の入っていなかった日曜日を満喫しました。

この24日金曜日にアマゾンから届いた小説を、
3日間かけて読了したのです。

その小説とは、
『チーム・オルタナティブの冒険』。

今日は、
その感想について、
お話しようと思います。

※本ページではアフィリエイト広告を利用しています。

チーム・オルタナティブの冒険

この小説の作者は、
これまで15年以上にわたり数多くの批評作品を書いてきた宇野常寛さんです。

私は宇野さんの『遅いインターネット』に感銘を受け、
『砂漠と異人たち』も読ませていただきました。

また、
『ひとりあそびの教科書』
も読みました。

そんな一ファンだったのですが、
しばらく前に、
宇野さんが初めての小説を出す、
という情報を得て、
とても楽しみにしていました。

私には珍しくアマゾンに予約をして、
発売日当日にゲットしたというわけです。

大満足でした

読了後、
とても満足しています。

まずなによりも、
読みごたえがある上に、
物語としてとても面白かったです。

そして、
宇野さんがこれまで批評で語ってきた、
「小説とはこうあるべきではないか?」
という問題提起に対し、
自分で回答を試み、
かなりの程度成功しているのではないかとも感じました。

では、
読んでいて楽しかったことを、
ネタバレにならないようにお話ししたいと思います。

作者の趣味や哲学がちりばめられている

読み進めていくと、
作者が別の著作や動画で語っている自分の趣味や哲学を、
複数の登場人物にいろいろ語らせていることがわかります。

まず、
主人公の森本が語る自身の生き方、
世間の大人たちに対する見方・姿勢が、
作者がふだん語っている自身の批評精神に重なっていると思いました。

そして、
重要人物樺山の趣味が、
作者が他の著作で中高生に勧めている趣味と重なっていたりしました。

一宇野ファンとしては、
ふだんと同じことを言っているのを読んで、
「うんうん、宇野さんは本当にこれが好きなんだな」
と安心しつつ、
「好きなことをしていて良いなぁ」
と楽しくなってきました。

読んでいて楽しいけれども、
書いている本人が一番楽しかっただろうなと思いました。

ジャンルは?

本の帯に、
「謎の事件をめぐる高校生たちの」
とあったので、
ミステリなのだろうとは思っていましたが、
読み進めていくと、
純粋な青春小説であり、
ミステリであることを主張しない青春ミステリ小説だなと思いました。

ところが、
そう思っていたのが最終盤で○○だったと判明します。

その決定的な呪文が発せられたときには思わず笑ってしまいました。

オマージュなんだと思ったところで、
そういえば最初からこの本はすべて先行作品へのオマージュだったことに気づきました。

冒頭からいろんな固有名詞が出てくるので、
興味がそそられた読者のブックガイド・映画ガイドにもなっています。

村上春樹批判への回答?(私見です)

私は、
村上春樹は若い頃に流行った『ノルウェイの森』くらいしか読んでいないので、
宇野さんが近年の村上作品を批評する際に、
「女の人に汚れ仕事をさせて自分はキレイなままでいる主人公」
という設定を批判する、
その具体的な作品・エピソードを知りません。

しかし本作品の最終盤で、
チーム・オルタナティブの正体を突き止めるために、
主人公森本が、
ガールフレンドとの約束を反故にしたり制止を振り切ったりして、
二度にわたり自分一人で現実に飛び込むことを選択するのは、
村上作品への異議申し立ての実践なのだろうと思いました。

批判するだけでなく、
実際に自分でこのように作品を書いて、
「村上春樹にもこのような作品を書いてほしい。それなら高く評価するのに」
と考えているのではないかと思いました。

チーム・オルタナティブについて

いま現在の日本国において、
さまざまな問題があり、
対処できていない問題もありますが、
たとえば国がその対処を明確に行っているものもあります。

けれど、
対応しているはずなのに、
関係省庁等の思惑や利権に妨害されてちゃんと機能していないことが多くある。

本作では北岡に象徴されている問題です。

それに対し、

  • チーム・オルタナティブのような視点・姿勢・ポジション・実力を持つ集団はないだろうか?
  • あるなら応援したい
  • ないなら作りたい

作者にはそんな思いがあるのではないかと感じました。

私自身は?(まとめ)

  • 主人公が中学生の頃から作り始めた仲間・高校に入ってからの写真部の仲間
  • 主人公がチーム・オルタナティブに感じた空気感

私も、
そんなふうに仲間たちと過ごせる時間が持てるといいなぁと感じました。

そして、
私はすでに57歳になってはいますが、
この今になってこそ、

  • それができるのではないか
  • できる仲間はすでにいるじゃないか
  • あとは私自身がそうしようと決めれば良いのだ

と思いました。

「何か試してやってみたい」

そう思わせてくれました。

というわけで、
この作品は、
中高生にはもちろん楽しんで読んでほしい作品です。

そしてさらに、
多くの大人にとっても楽しめる作品だし、
オルタナティブな自分を創るガイドにもなると思いました。

自信をもっておススメできる作品です!

生命って何だろう? 生きるって何だろう?
谺(こだま)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUT US
谺(こだま)
谺(こだま)こと、児玉朋己といいます。 歌うピア・サポーターをしています。 静岡県藤枝市にある自立生活センター「おのころ島」が運営している地域活動支援センター「りんりん」の施設長です。 精神障害を持つ方へ同じ当事者としてピアカウンセリングを行うほか、シンガー・ソングライターとして音楽活動をしています。