こんにちは!
谺(こだま)こと、児玉朋己です。
お元気してますか?
私はここ1,2カ月は観劇の予定をたくさん入れまして、
時間もお金も遣ってきました。
おかげで贅沢な思いを堪能させてもらっています。。。
演劇っていいですな!
それとはまったく関係ないのですが、
本日は、
漫画・アニメ「葬送のフリーレン」について、
お話しようと思います。
ではでは~
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葬送のフリーレン
この作品は、
かなりヒットしているようですので、
みなさんご存知の人が多いと思います。
多くのレビューがネット上に上がっております。
少し前に、
「アリスとテレスのまぼろし工場」
についてお話したときもそうだったのですが、
今回も、
私が感銘を受けたレビューを引用することから始めたいと思います。
それは、
こちらのレビューです。
葬送のフリーレンは何を象徴しているのか?
この動画は、
レビュアーの山田玲司さんが語りたいことを、
ダイジェストにして、
かなりコンパクトにまとめたものなので、
箇条書きのように語っています。
作品を大きく評価している前提で、
山田さんが残念に思った部分を語っています。
しかし、
斬新な部分・新しく問題提起している部分を評価しています。
ざっとまとめてみました。
魔法について
お花畑を作る魔法が象徴していること
- (いまの私たちがやりたいのは)相手を傷つけることではない
私が感じたこと
冒頭で山田さんが語るこの部分、
私も同じことを感じていたと同感でした。
アニメの第2話でのこと。
かつてフリーレンと一緒に魔王征伐の旅をした勇者ヒンメルの銅像のところに、
花を植えたいということになり、
花畑を出す魔法を使うことになったのです。
それが簡単にはできず、
ある困難を克服したことで無事花畑はできあがります。
その花畑を見て、
私はたしかに山田さんの言う「慰霊」を想ったし、
「もう人は死んでほしくない」
「もう争いをしたいわけではない」
ことを感じました。
そしてたしかに、
ここではその気持ちを描いているのだと思ったのです。
それを山田さんがまず冒頭で言ってくれて嬉しかった。
魔法が象徴していること
- いまの日本人の自意識=魔法が使える=何でもできる自分
奥様は魔女問題=「魔法」の意味の変化
- 他人を傷つけない魔法
- 戦うための魔法
- 「どうでもいいもの」への回帰
私が感じたこと
私の年齢は山田さんの一つ下で、
同世代です。
だから、
ここで「奥様は魔女」が出てきてなるほど、
と言っていることがすぐにわかりました。
私の世代だと、
他には、
- 魔女っ子メグちゃん
- コメットさん
等がありました。
メグちゃんの方はライバルのノンとの競争がありましたが、
コメットさんの方はたしかにいたずらが多かったかと。
そういう牧歌的な時代でした。
山田さんは、
そういった「どうでもいい魔法」をフリーレンが集めているという設定に、
この作品が目指し描こうとしている世界観の可能性を見ているのだと思います。
- 捨てられない万能感・特別感の象徴
- 根拠なき特権意識
私が感じたこと
この点については、
なるほどこのように解読するんだ、
と感銘しました。
私自身はそこまで気がつきませんでした。
ただ、
そうであれば、
と次のように思い至りました。
拙著からの引用を読んでください。
私はもともと、つい「立派なことを成し遂げてやる」「大きな意味のあることをしたい」と考えてしまうタチでした。
『手記 私はいかにして統合失調症から回復したのか 統合失調症の人とその周辺の人々へ』(p.176-177)
病気のせいでそれを追い求めることが難しくなりました。
無念を感じたものです。
ただ、ゆっくり考えることによって、私がもともと持っていた「立派なことを成し遂げたい」という思いには、大きな勘違いがあったなと思えるようになりました。
何か、直接ドカンと大ごとを成し遂げたいと思っていたフシがあるのです。
誰が見ても偉大なことを成し遂げたイチローの有名な言葉があります。
ちいさいことをかさねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道。
(『夢をつかむ イチロー262のメッセージ』ぴあp.74)
です。
これは至言だと、私もいまは思えます。
けれど恥ずかしいことに、「小さいことを重ねる? バカバカしい」と思っていた時期が、発病前から発病後まで私にはかなり長くあるのです。
なんというか、「大きなことは直接ドカンとやるもんだ」と思っていたのです。
バカですね(笑)
この部分で語られている、
かつての私が考えていた、
- 立派なことを成し遂げてやる
- 大きな意味のあることをしたい
- 小さいことを重ねる? バカバカしい
- 大きなことは直接ドカンとやるもんだ
に注目してください。
これらは、
明らかにすべて万能感・特別感・根拠なき特権意識の産物だとわかりますね。
私は、
統合失調症になっていろんなことができなくなって、
この万能感をへし折られたのです。
そして、
そのおかげで、
「小さなことは良いことだと思おう」(p.176)
と考えられるようになったのです。
立派なこと・大きなこと=大きな魔法
小さなこと=どうでもいい魔法
ですね。
あと、
これは本には書かなかったことですが、
私は、
「この世界は弱肉強食で、俺はそのなかで勝てる人間だ」
と思っていたんです。
自分がこのように考えていることに気がついた瞬間を覚えています。
作業所「元気村」(当時)で作業をしているときでした。
その作業は大変ではなく簡単なものでした。
そのとき、
「自分はこんな簡単なことしかできなくなってしまった」
と思い、
「そういえば発病前の自分は?」
と自問したのです。
そのとき、
かつての自分はなんの根拠もなく、
「俺は勝ち組側の人間だ」
と考えていたことに気づいたのです。
現実の日本
- 誰も助けてくれないよ
- 若い世代は「その先」にいる
- 現実に起こっている問題をどうやって解決していくかというフェーズに入っている
この部分は、
山田さんの現在の時代認識だと思います。
もう10年前くらいから、
万能感を誇ったり行きすぎて持て余したりするのではなく、
国としても個人としても個別具体的な問題解決に向き合い取り組むべき時が来ているのに、
「葬送のフリーレン」では、
まだ主人公のフリーレンを強力な魔法の力を持つ設定にしてしまっている。
現実にどう着地するかという問題意識で作られた作品もあるのに。
山田さんは、
それを嘆いています。
特別な自分 VS 認めてもらえない自分
- そもそもそんなに特別でなくても良いのに
魔法力=自分の能力・存在・承認欲求を死ぬまで隠せ
- 目立たぬようにはしゃがぬように
- 「自分」を封じて生きている現代人=フリーレン
みんな塵
- 偉大なる塵としてお互いを尊重して生きていこう
上記3つまとめてこのあたりでは、
これまで語ってきたことを前提に総括したうえで、
ではどうすれば良いのか、
ということについての処方箋を提案しています。
理想の男たちは滅んでいる
- 守ってくれる男はもういない
- ひとりぼっちでどうする?
- 消費者から生産者へ
- 保護される側から保護する側へ
ここでは、
上記まで「魔法」をめぐって語ってきたところから話題を変えて、
理想の男たちは滅んでいるという、
「葬送のフリーレン」で提案された新しい問題設定について語っています。
そして、
この問題設定がこの作品の斬新さであると評価しています。
私が感じたこと
この部分では、
私自身が思っていた、
「俺の周りってシングルマザーがけっこういる」
という認識と符合する所が大きいと感じました。
たしかに、
現代の問題だなと思います。
私は男で独身できました。
そんな私が「守ってくれる男」であるか、
実に心もとありません。
今後の時代は、
男が守り女が守られるという明確な役割分担の形は変わっていくのかもしれません。
ジェンダーの問題ですね。
昔から男らしくない男はいたし、
強い女だっていたし、
というのは当然です。
この言い方では収まり切らない変化かもしれません。
男が強く、
弱い女を守る、
というフィクションで語られていたジェンダーが、
別の何か新しいフィクションで語られるようになるのではないでしょうか?
最後に次のようにまとめて動画は終わります。
4つのポイント
- 戦う魔法の終わりへ
- 根拠なき万能感の終わりへ
- 私を認めて問題
- 頼れる男は存在しない
どうでもいい日常・小さなことを見直そう(まとめ)
私にとっての大きな魔法・万能感とは、
かつて持っていた「自分は勝ち組になれる」という肥大化した自意識でした。
病気によりそれが叶わぬ夢となったおかげで、
どうでもいい魔法・小さなことは良いことだという思いに変わることができました。
病気持ちになると、
私と似た経験を持つ方もいると思います。
また、
病気じゃない人でも、
世の中で経験する試練によって、
「自分は凄いんだ」という思いをへし折られることがあるかもしれません。
どちらの人にとっても、
そのとき、
フリーレンがどうでもいい魔法を集めていたことを思い出してほしいです。
かつてあったそこに回帰するという選択肢がある、
という知識=教養が、
あなたを救うかもしれません。
蛇足
ご存知の人も多いと思うので、
私がいまさら言うこともないんですが、
とても面白い漫画・アニメなのでぜひ観てほしいです。
初回から、
きっとその設定に驚かされます。
と言いつつ、
私はまだアニメしか見ていなくて、
漫画は読んでいません。
給料が入ったら、
これから読もうと思っています。
生命って何だろう? 生きるって何だろう?
谺(こだま)
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